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第12回平和構築フォーラム・セミナー議事録

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第12回平和構築フォーラム・セミナー(JICAと共催)
「ネパールの平和構築支援にどう取り組むか〜社会的共生の実現に向けて〜」
2007年10月10日(水)
於:JICA地球ひろば(東京・広尾)

【報告者・コメンテーター】
有田絵理(外務省アジア太平洋局南部アジア部南西アジア課)
鳴海亜紀子(国連ネパール政治ミッション有権者教育アドバイザー(西部地域担当)・JICAジュニア専門員)
根本かおる(日本UNHCR協会事務局長)
吉浦伸二(JICA前ネパール事務所長・国内事業部国内連携グループ長)
橋本敬市(JICA国際協力専門員)
マハラジャン・ケシャブ・ラル(広島大学大学院国際協力研究科教授)(コメンテーター)

【議論のポイント】
●ネパールでは、昨年、政党とマオイスト(反政府勢力)との間で包括的和平合意が成立した。国連ネパール政治ミッション(UNMIN)による武器及び兵士の管理の監視が行われる中、民主化の定着(制憲議会選挙の実施等)及び平和構築(マオイスト兵の処遇)が大きな課題に。
●我が国からは、民主化定着のモメンタムが維持されるよう、選挙箱供与等の選挙支援、平和の配当を実感してもらうための緊急人道支援、顔の見える支援として専門家の派遣及び自衛隊員のUNMINへの派遣等を実施中。
●他方、多民族国家のネパールで平和・民主化が進展することで、様々な民族・カーストにも自らの権利に対する意識が芽生え、新たな権利闘争を生む結果に。またマオイストとの武装闘争で2万人近くが犠牲になっており、こうした歴史を乗り越え「社会的共生」を実現するのが重要な課題に。
●選挙における「社会的共生」について、制憲議会選挙には、これまで社会的システムから阻害されてきた人々を国体の決定プロセスに取り込んでいくという意義がある。今後の実施にむけては、UNMINの役割はアドバイスに限られており、ネパール側の強いコミットメントが必須。
●支援実施上の課題として、政府機能の弱さが挙げられる。一方、ドナーは中立性を保つ必要もあり、関係組織の能力・ニーズの見極めに留意すべき。
●支援の成果・インパクトの最大化のために、住民のニーズを確認しながら、基本インフラの整備と社会作りを同時に行っていくことが必要。平和構築のためには開発が不可欠であり、開発のためには平和が不可欠。
●平和構築には、システム・制度づくりが重要。つまり、人づくり、ガバナンスの強化。同様に、社会的共生を考える際にも、制度作りが重要。


1.ネパールの政治情勢と日本の平和構築支援(有田絵理・外務省アジア太平洋局南部アジア部南西アジア課)(発表資料

(1)ネパールでは、1990年の民主化運動を経て、国王親政体制から立憲君主制へ移行した。2001年の王宮乱射事件で国王一家が暗殺され、ギャネンドラ国王が就任。腐敗と権力闘争により短命な正統政権による不安定な政情が続く中、国王は次第に強権的になる。1996年以降、マオイストが武装闘争を開始し、国内の広い地域を勢力下に治めていった。2005年には国王は非常事態令を発令し、自ら政権を掌握。ネパール政局は、国王、マオイスト、政党の三つ巴状態から、マオイストと政党が、国王と対立する構造に変化していく。また、民衆による国王への反発も強まり、昨年4月に大規模抗議行動がおこり、これによって国王は下院を復活させた。その後、政党とマオイストによる和平交渉の結果、昨年11月に包括的和平合意が成立。包括的和平合意では、国軍及びマオイストの兵士・武器の管理について、国連に監視を要請することで合意。これを受けて、今年1月、国連安保理は、国連ネパール政治ミッション(UNMIN)を設立する決議を採択し、現在非武装の軍事監視要員が活動中。

(2)我が国の支援については、ネパール政府が必要としていることと日本の得意分野のバランスを図りつつ、外務省、JICA、防衛省等オールジャパンで平和構築支援を行っている。制憲議会選挙が行われて民主化定着のモメンタムが維持されるよう、選挙準備の具体的進展を目に見える形で示すため、選挙箱を供与。他方、多くの国民が選挙に参加する「公平な」選挙を実施することが重要であり、地方まで情報が行きわたるようにラジオ放送局の整備も決定。また、ネパール選挙管理委員会の本邦研修や、JICAの選挙専門家の派遣も行っている。紛争後の国に平和の配当としての支援を行い、多くの国民が平和の果実を実感してもらうことが重要との考えから、約480万ドルの緊急人道支援も行った。顔の見える支援として、自衛隊員6名を軍事監視要員として派遣中。他方、中長期的視点から、紛争の根本原因である貧困問題に対処するため、これまで通り貧困削減のための支援を継続していく。

(3)最近の情勢については、今年1月に暫定憲法が公布され、マオイストを含む暫定議会が発足。4月には、マオイスト閣僚が参加する暫定政府が発足した。しかし今年6月に予定していたネパール制憲議会選挙は11月に延期され、この度再度延期となった。この再延期は、ネパール国民と国際社会の失望を呼び、今後の懸念事項となっている。6月は技術的に無理な日程であったが、11月は法整備も完了していた。政党側が11月の実施に対するインセンティブが低く、政治課題を片付けられなかったというのが延長の主な理由。

(4)ネパールでの平和・民主化の進展は他方で、社会的共生に関する新たな問題を生じさせた。つまり、60の民族・カーストが存在するネパールでの平和・民主化の進展は、伝統的な被差別民族層にも自らの権利に対する意識が芽生えさせ、新たな権利闘争を生む結果に。また2万人近くが犠牲になったマオイストとの武装闘争は最近まで続いていたわけで、こうした歴史を乗り越えて、マオイスト兵がローカルコミュニティに受け入れられ社会復帰できるのかも大きな課題。このように現在ネパールでは、「社会的共生」の実現が重要な課題となっている。

2.国連ネパール政治ミッション(UNMIN)の選挙支援(鳴海亜紀子・UNMIN有権者教育アドバイザー(西部地域担当)・JICAジュニア専門員)(発表資料

(1)国連ネパール政治ミッション(UNMIN)のマンデートは主に2つ、選挙支援と武器管理支援である。UNMINの特徴の一つとして、その役割がAdvisoryに限定されていることが挙げられる。これに従い、UNMINスタッフの肩書きも本部、地域、郡レベルいずれもAdvisorとなっており、並行してネパール選挙管理委員会にカウンターパートがいる。

(2)制憲議会選挙に至るまでの流れについては有田氏から説明があったが、選挙に関して言えば、当初2007年6月に予定されていた選挙延期の背景に、選挙法の未整備などの準備不足、選挙に向けて気運の高まりの欠如があった。UNMINも実施は困難と考えていたところで、最終的にはネパール選管による延期発表であった。一方今回10月5日の延期については、選挙法の発布、有権者教育が順調に進む中、マオイストが政権を離脱したことが大きな原因。マオイストが政権離脱を決めた背景には、選挙で勝てる見込みがないこと、王制廃止への強いこだわりがあろう。

(3)選挙における「社会的共生」であるが、制憲議会選挙には、これまで社会的システムから阻害されてきた人々を国体の決定プロセスに取り込んでいくという意義がある。今回比例代表と選挙区制の併用によりネパールの多様性の反映が図られた。選挙区の関連で言えば、ネパールの人口の約49%を占めるとされるタライ地方の人々の間で、選挙区割当に対する不満から抗議運動が起こったが、結果選挙区の増加により、当初に比べて約2倍の議席割り当てを得ることとなった。有権者教育においては、村レベルで約8千人の有権者教育ボランティアが活動することとなっていたが、その半数を女性とすることが定められた。また、各政党が準備する候補者名簿においては、カーストや民族、ジェンダーなど、ネパールの多様性を反映した各種条件が満たされなければならない。しかしながら、実際そのようなリスト作成が可能であるのか、また、リストから最終的にどの候補者を当選させるかは政党に委ねられていることによる有名無実化を懸念する声もあった。

(4)有権者教育においては、制憲議会選挙そのものが新しい試みであることから、その意味と意義を伝えることか課題である。UNMINと選管は、@メディアによるパブリックキャンペーン、Aボランティアの動員、BNGO・CSOとの協同を戦略の柱として有権者教育を進めている。また、今回選挙においては無効票をいかに減らすかというのも大きな課題である。

(5)最後に、選挙実施にむけての課題であるが、UNMINの役割はアドバイスに限られており、最終的には政党を含めたネパール側自らの強いコミットメントが必須であること、セキュリティの確保、選挙延期に伴うスケジュールの見直し、有権者教育のやり直し、ドナーからの継続した支援の有無が挙げられよう。

3.UNHCRによる国内避難民支援(根本かおる・日本UNHCR協会事務局長)

(1)1996年から10年間続いた内戦の結果、数十万の人が避難したが正確な人数は分かっていない。ネパールでは、南部のタライ平野やインドまで出稼ぎする人も多く、出稼ぎと国内避難民(IDP)の区別がしにくいという問題がある。UNHCRでは、2006年以降、IDP帰還の促進も行ってきた。ノルウェー難民評議会(NRC)の出向者を受け入れて、IDPプロジェクト担当の出張所をビラトナガルとネパールガンジに設立した。また、UNHCRには、無国籍者を減らしたり予防したりするという任務もある。今年、ネパールでは市民証を配布する事業を進めてきて、260万人に発行された。UNHCRでは今年、無国籍者に関する実態調査を行っている。

(2)IDPに関する政府のスタンスについてだが、マオイストの影響で逃れた人のみをIDPとして登録し、警察や軍など政府側から逃れた人、予防的に逃れた人については、IDPとして捉えてこなかった。これは、国連の定義とは異なっており、実態把握が難しかった。そこで、UNHCRでは2005-6年にかけて他の国連機関やNGOと合同でアセスメントミッションを実施し、その実態把握に努めてきた。

(3)ネパールIDPは大きく二つに分かれる。一つ目のカテゴリーは主に、内戦で治安が悪くなり経済的に立ち行かなくなることで逃れた人たち。二つ目は、個人のバックグラウンドが理由で標的にされた人たちだ。一つ目のカテゴリーの人は、マオイストから標的にされることはあまりないため、2006年11月の和平合意以降に自然と戻ってきている。一方で後者は、標的になるため、戻ってこられない状況である。また、2007年2月の政府発表では、移動の自由、住む場所、故郷に戻る権利について、概ね国際基準にあったものとなってきたが、これはUNHCRなどが政府に対して、国連の水準を活用するよう働きかけてきたことによる。

(4)最後にUNHCRの役割についてだが、地区レベルで、政府、政党関係者、NGO、セキュリティ関係者などを集めて研修も行っている。IDP、帰還民の権利や境遇改善に向けて、IDPタスクフォースの連携の場も設立している。また、帰還後の定着状況のモニタリングを行うとともに、帰還民が帰還後に法的カウンセリングが受けられるような状態を整備することも行っている。さらに、人権状況を監視するために、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)との連携も大切だ。IDPのHIV対策についても、UNHCRはリードエージェンシーである。国連エイズ合同計画(UNAIDS)とUNHCRの共同アセスメントが行われ、啓蒙対策も進めている。

4.JICAの対ネパール支援の現状と課題(吉浦伸二・前JICAネパール事務所長・国内事業部国内連携グループ長)(発表資料

(1)今次ネパール和平プロセスの出発点は、2006年4月の第二次民主化運動であり、その下院復活宣言の精神がその後の和平協定や予算演説、国家暫定三ヵ年計画においても継承されている。そこで目指しているものは、従来の差別社会からの脱却であり、公正な社会の実現である。

(2)ネパールの紛争においては、国王、政党、マオイストという三者すくみの敵対構造が続いたことにより、結果として紛争の責任の所在が曖昧である。結果、マオイストは政権に参加、軍が罰せられることも無かった。また、一つの特徴として、紛争によるインフラの破壊や被害と、元来未整備、もしくは未提供であったサービスとの明確な区分ができないことが挙げられる。貧困による紛争か、紛争のせいにされた貧困か、いずれにしても人々は紛争と貧困からの脱却を願っており、双方の実現に努力していく必要がある。

(3)このような中、JICAが実施している事業の一つの柱としては、「人間の安全保障」が挙げられる。ネパールにおけるJICA支援においては、「人間の安全保障」の視点を重点プログラムの絞込み、また、案件の実施において重視してきた。具体的には教育分野の重視、例えばNGOと連携しながら低カーストの子どもたちを対象としたノンフォーマル教育の実施、またこれに伴う母親や地域の活動の支援などを行っている。同時に無償資金協力による教室の建設や、理数科教師の協力隊員派遣なども行ってきた。

(4)対ネパール支援の柱、分野は多岐に亘るが、浄水場建設に研修を組み合わせるなど、常にソフトとハードの組み合わせに努力してきた。また、日本で研修を受けた成果を、セミナーやワークシップで広める、ボランティアによるNGOや農業組合支援など、色々なスキームを組み合わせて、人々に届く支援の実施を目指している。

(5)以上のような支援を実施する中の課題としては、政府機能の弱さが挙げられる。頻繁な大臣、スタッフの交代、民心に請う政策など、政府の機能が未熟。一方、ドナーとしては中立性を保つ必要も有り、関係組織の能力の見極め、またニーズの見極めに留意していく必要がある。ニーズは地方にある一方、国土が山がちなネパールにおいては、地方へのアクセスは困難であり、事業実施上も色々な工夫が必要とされる。

(6)また昨今、権利意識の強まりから、開発事業の実施に支障が生じるケースが出てきており、市民意識を高めていくことも必要であろう。また、成果・インパクトの最大化を図るためには、住民のニーズを確認しながら、基本インフラの整備と社会作りを同時に行っていく必要がある。平和構築のためには開発が不可欠であり、開発のためには平和が不可欠である。

5.社会的共生を実現するための支援(橋本敬市・JICA国際協力専門員)(発表資料

(1)今年8月に発表された世界銀行の報告書においては、平和構築に必要なものはInstitutional buildingであると指摘されている。つまり、システム・制度づくりが重要ということであり、人づくり、ガバナンスの強化という流れを提示していると言える。同様に、社会的共生を考える際にも、制度づくりが重要となってくる。

(2)ネパールへのガバナンス支援として、制憲議会に対するオルタナティブの提示を通じた支援を検討していた。具体的には、憲法を草案し、国体を定める制憲議会に対し、他の国や制度の事例を示し、教訓やネパールの将来を考える機会を提供しようというもの。しかしながら、制憲議会選挙の延期により、こういった支援の先行きは未定である。

(3)社会的共生を実現する政治システムのあり方について、高名な政治学者Liphartが多極共存型民主主義という考え方を提示している。英国ウェストミンスター型とも言われる多数決のWinner takes allではなく、グループ間のパワーシェアリングとコンセンサスによる大連合を基盤としたシステムである。基本的には、今のネパールが目指す方向であろう。特徴としては、少数派の政治的保護や予算措置における比例制原理の適用などが挙げられる。具体的に適用されている例として南アフリカがあるが、グループのトップが協力する姿勢を持つという前提が崩れれば均衡は成立しないことを露呈する結果にもなっている。ネパールにおいては、パワーシェアリングのベースとなり得るものが、民族、カースト、地域と多様であり、困難な面があろう。ボスニアは、多極共存型民主主義の有様が反映された憲法を持つとされるが、各民族が持つ拒否権により、経済開発の遅延を招く結果にもなっており、また、最終的には当事者が意思を持たなければ何事も機能しない事例にもなっている。以上を踏まえ、Liphartはまた、「コンセンサス型民主主義」への発展を提言している。コンセンサス型民主主義とは、大連立政権による権力分有、多党制、比例代表性など10の特徴を持つ政治システムの有様だが、ネパールも最終的にはこれを目指していくべきであろう。

(4)一方、社会的共生を実現するシステムを目指していくために、脆弱なバランスの上に成り立つ国に対し支援をする際、ドナーが心がけるべきことは何か。第一に、ドナー間で調整の徹底を図ること。バイドナーはえてしてビジビリティーの高い協力に偏る傾向があり、その結果、国内の均衡を却って崩すことにもなりかねない。第二に、プロジェクトレベルにおいては、紛争予防を徹底すべきであり、紛争要因分析を踏まえた案件形成が重要であろう。

6.コメント(マハラジャン・ケシャブ・ラル・広島大学大学院国際協力研究科教授)(発表資料

(1)ネパールは多民族国家、多様性の国である。今日を脅かすネパールの「火種」は、ゴルカ王朝による無理なネパール統一化、ヒンズー化から始まるものであり、大英帝国やインド偏重の外交の影響をも受けた、歴史的、政治的、国際的「火種」である。結果、ネパールは様々な矛盾を抱えることとなったが、1951年に始まった民主化は、これを克服しようとする試みでもあった。

(2)ネパールの「国民」を意味する言葉は、レイティ(農奴)からプラジャ(subjectとして従属する国民)、そしてロク(国民、民衆)へと変遷した。1989年にガネシュ・マン・シンが「レイティからプラジャ」を謳ったが、2006年の民主化ではじめて、プラジャからロクへ、同様に民主主義もプラジャタントラからロクタントラという言葉に代わった。しかし、このロクタントラは一体全体、誰がどこからもたらしたものであるが、考える必要があろう。

(3)ネパールにおけるSocial Inclusionのコンセプトは、2004年に英国際開発省(DFID)等により持ち込まれたものである。誰が誰をIncludeするのか、概念の中に上下階層が含まれている限り、ネパールにおける真の社会的共生は実現しないであろう。

(4)ネパールにおいて「社会的共生」を実現するために国際支援がすべきことは、人間の安全保障や機会の平等の実現のための支援、つまりセーフティーネットや格差を是正する制度づくりへの支援である。加えて、国際社会が関心を持ち続け、関わり続けていくことが重要であると考える。

7.質疑応答

(1)11月に予定されていた選挙が中止となったが、今後の予定や、UNMINのマンデート延長について、状況如何。
→(鳴海氏)UNMINのスタッフとしてではなく、個人として申し上げる。明日10月11日には暫定議会において特別議会が開かれることとなっており、その結果が注視されるところである。いずれにしてもUNMINのマンデートは選挙終了まで延長されるというのが自然な流れだとは思う。
→(マハラジャン氏)ネパール語の報道によれば、コイララ首相が選挙を4月中旬までに実施したいと発言している。

(2)1989年の民主化以降、国内の諸改革は進んだと言えるか?
→(マハラジャン氏)未だに問題は出尽くしておらず、これからも時間はかかるだろう。

(3)これまでネパールを考える時には、カトマンズ中心の視点であったが、今後はマデシの存在が大きい。マデシをどう見ているか。
→(鳴海氏)選挙に関連して言えば、マデシが声を上げたことにより、選挙区、暫定議会の議席改編が行われた。選挙の遅延を招いたという見方もできようが、確保すべき権利の確保に繋がったとも言える。
→(吉浦氏)民族の問題に加え、JICAのオペレーションにおいては、治安面の影響も大きかった。マデシ問題も、裏にはマオイストの分派問題があったと認識している。いずれにしても、聞かれなかった声が聞かれる機会を作った、ということは言える。

(4)和平前と和平後のマオイストの行動パターンには大きな変化がある。また、タライの問題、海外送金の増加などもある。こういったことは、国民の生活にどのような変化をもたらしているのか。
→(吉浦氏)カトマンズに富と人が集中しており、海外送金もあって、豊かさ、消費社会というものは確実に出現している。一方、格差拡大が懸念されるところである。

(以上)